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等価変換創造理論(ET論)Q&A

2012年01月21日

本項は等価変換理論を学ばれている方々から過去に受けた質疑の中から一般性のありそうな部分をまとめたものです。理論理解の一助にしてください。

2012年01月21日
Ⅰ等価変換理論全般

1-1.Q  現役のET会員は何名ですか

      A 市川先生が現役のころ、同志社大学の教え子と大阪科学技術センターの企業人の受講生は何100人の単位でした。その内熱心な教え子はET会員となりましたが現役を退職され会員も減りました。2000年に市川先生が亡くなられ、今は40数名で、毎月の定例会参加者は10数名です。このままでは会員もET理論も消えるのではないかという危機感から、平成17年より普及活動を開始しました。日刊工業新聞社から「図解でわかる等価変理論」の発刊や通信教育講座開設、各種のセミナーもその一貫です。

詳しくはhttp://jcdc.jpをご参照ください。 

1-2.Q: 各種発想法を実務に適用するにはどのようにすればよいのですか。

    A 実務が何かによります。画期的な技術開発を目指しているのであれば、しばらく等価変換理論に賭けてみてください。他の実務であれば、「創造力事典」の第Ⅴ部の88技法に目を通して、使えそうなものがないか見当をつければよいと思います。 

1-3.Q: 「具体的に業務に活用できるかどうかわからない」という人がかなりいて、「知識として知っている」だけでは意味がないと心配する人がいます。

   A 演習例からも分かるように、問題が生じたときその原因を徹底的に調べます。その結果、因果関係がはっきりすれば対策はおのずから決まるというのが専門情報による解決であり、いわゆるデジタルルートによる解決です。等価変換論を使うまでもありません。  

しかし原因が分かっても対策が分からない場合も当然あり、ここで試行錯誤が起こります。このときに等価変換論の出る余地があります。合理的な思考の手順だから当然です。特に異分野からの発想のヒントが役立そうな場合は最も得意とするところです。 

 みなさんも全ての開発が専門情報の駆使だけでいけるとは考えておられないでしょう。困難に直面したとき活用しようと考えていて下さい。知識として知っておれば、使わずにはおれないはずです。柔道・空手を習っていて暴漢に襲われたときその技を使わない人はいないでしょう。ただ、何度も言うようにいざというとき使えるには日頃の訓練が大切です。訓練には時間が必要です。かつて市川先生が大阪科学技術センターでやっておられたセミナーは、毎週1日、7ヶ月のコースで、約30回でした。 

1-4Q: 似た現象を参考にすることは等価変換理論を知らなくてもおこなうことが多いと思いますが、この理論を知っていることで具体的にどのようなケースだと特に有効なのか。 

    A 偶然ではなく積極的に「似た現象を探そうという意識」を持つことが最も大きいと思います。なにが役に立つかは分かりませんから自分の専門外のことに広く網を張っておく。一般的には生物の知識が役に立ちそうです。         

1-5.Q: 第1理論と第2理論とはどのように違うのですか。

    A 第1理論は、形とか機能性とかの大まかな観点から、AとBの2つの間に等価なものを探すことです。等価変換理論の基本であり、本質を抽象化する練習です。同時に、等価性に気が付くための訓練です。図解本の32項から41項まで10事例、「創造性の科学」のパネル1から4までの多くの事例を見直してください。

等価性を使った応用が等価変換であり、第2理論ということになります。等価性に気が付いた後、それを利用して創造しようというものです。事例で言えば、ガラスを折るのと板チョコを折るのが等価だと気が付くことからカッターナイフを開発し、ズボンに付いたガムを他のガムを押し付けて取るのと、米に付いた「米ぬか」に「ぬか」を押し付けて取るのが等価だと気が付くことによって無洗米が開発されました。

他の分野でも同様です。戦前の日本と古代地中海の都市国家カルタゴが似ている(等価だ)と思えば「カルタゴから学ぶ日本の針路」といった文章が書けます。

まず等価性に気が付く。そこでcε(シー イプシロン)を分析することによって等価変換することになります。等価性に気が付くのは、普通は偶然の出会いですから、これを目的意識的に探そうというのが等価変換フローチャートとなるわけです。そのためには明確に「問題の設定」がなされている必要があります。 

1-6.Q 発明なら第2理論を利用すれば良いと思いますが、第1理論は何に利用するのですか。vi等を見つける力をつける練習というような位置づけで理解しておけばよいのでしょうか。

    A その考えでいいです。ただしET理論になれてきますとチャートを①´から順番にたどるのではなく、チャートは前提に置きながら、ε や Aοから始めることも多くなります。Aοから発想が始まれば第1理論の要素は大きくなりますね。

2012年01月21日
Ⅱ等価方程式について

2-1.Q: 等価方程式の記号の由来は。

    Aviは viewpoint 、cεのcは condition 、εはequivalent あるいは equal 、 οは origin , τ は transform か transformation の意味です。 

2-2.Q: viが等価方程式として成り立つようにすると抽象化されるのに、フローチャートになると具体性を増してくる点、第一理論は抽象的、第2理論は具体的と割り切って考えて良いのでしょうか。

         A: 考え方はそれで良いでしょう。割り切って考えるというよりは、第一理論のようにAοとBτが分かっている場合は 即cεが考えられるわけで、viは従属的です。抽象的にでも具体的にでも書けます。ところが第2理論はviによって効果的なε、Aοを求めるわけですから、あまり抽象的にはできないのです。全て済んだ後で発表用にチャートを整える場合には抽象的にもできます。 

2-3.Q: 等価方程式の動的な使い方でも、同じAο、Bτを後から別の人が見たときには、静的な捕らえ方をしてしまうと思いますが、それでもよいのでしょうか。 

    A: それで結構です。後から見たほうがcεなど明確になるでしょう。動的な場合はviなどからなんとかしてAο、Bτを求めているのでチャートもあまり洗練されていないと思います。静的な見方からチェックするのもよいでしょう。 

2-4.Q: 探しても Aο が見つからないときは。

      A  εが適当でも見つからない場合は、他の人の知恵を借りるとか、各種の本の索引を利用するとか、TRIZのeffects toolを使うとか 、直ぐにあきらめず、もっと努力を続けるしかないでしょう。 

2-5.Q: 系を書く意味は。

    A: 普通は略します。AとBの系の違いを意識するときだけ書きます。なお、系が離れているほど意外な発想といえそうです。

2012年01月21日
Ⅲ等価変換フローチャート(ETチャート)

3-1.Q: 演習で過去の自分の開発例をフローチャートに載せる意味はあるのか。

    A: ⅰ)ETチャートに慣れる練習ですが、自分のよく知っているテーマのほうがやり易いのではないでしょうか。

 ⅱ)かつて自分が無意識的か試行錯誤的に考えてやったことと、一般的と思われる思考ルート(ETチャート)を比較してみるのは興味深いのではないでしょうか。

 ⅲ)チャートをある程度理解したと思ったら、併行して、現在取り組んでおられる開発テーマにも適用されたら良いと思います。

 ⅳ)自分たちの演習例の蓄積は企業にとっても後輩への教材に成りえます。今後とも社内で蓄積されれば、説明資料とETチャートのセットの集積は発想法の知的財産です。 

3-2.Q: 各種発想法をチャートのどこで使うと効果的か。

    A: 各種発想法の多くは商品開発、改良で使っているようです。ETチャートでは①´から①の部分です。希望点列挙法とか欠点列挙去などです。またブレーンストーミングは、①´から①のとき、viを出すとき、Aοを探すとき、に限定して他人の知恵を借りるのに使えば効果的でしょう。 

3-3.Q: 一直線に発明できた場合がある。ETチャートに載っているかどうか不明。

     A: 一直線に発明できればそれが最高です。うまくいかない場合に意識的に使ってみてください。 

3-4.Q: デジィタル・ルートが分かりにくい。

     A: ③´の Σbは現実の物の形にするためには必要なことで、現場の技術者にとっては当然のものです。気にすることはありません。ましてその上の②´はそれらを含んだ専門知識ということです。ともに「専門知識群」の1語で済ませる場合もあるぐらいです。他の人のためにこの専門知識がポイントでした、というものを書けばよいでしょう。

2012年01月21日

3-5.Q: vi(観点)とε(本質)は、ケーススタデイを見る限りでは名詞か動詞か、という以外、ほとんど同じに見えますが、実際にETチャートを埋める際、同じようなものと考えてしまって差し支えないのでしょうか。

    A: その考え方でいいでしょう。少し付け加えれば、εは表現に人による差がほとんどないのですが、viは内容に幅があるので、人により少し違いが出るのです。例で説明します。

図解本のテーマ26、島津式鉛粉製造機の事例。viを(a)「鉛のブロックをこすり合わせて粉にする」 → (b)「固体ブロック群の粉末化」→ (ε)「固体ブロック群を粉末化する」

viの2つの表現で(a)はかなり具体的に考えていて、そのままviとしています。(b)はこれを抽象化して表現したものです。抽象化が進んでいるのでεとほとんど変わりません。εと区別するため名詞でとめているだけです。要するにa,bともに思考過程は同じなのですが、表現として具体と抽象のどの辺におくかで若干個性が出るのです。 

3-6.Q: aETフローチャートの到達点(?)はどこか。

b.特許をフローチャートにあてはめるのは難しかった。Aοが思いつかなかった。等価変換を使用している気がしなかった。 

c.Aοは考え付くことのほうが稀。たいていの発明はそれをやらずにやってきた。

d.等価変換理論の得意とするところ、苦手とするところはあるか。

    A: この4人の意見は重なっている部分があるのでまとめて答えたい。

まずロシアのアルツシュウラー(TRIZの提唱者)が既存の特許を分析し、特許のランク付けをしています。

「第1レベル:その専門分野の一般的な知識を用いた解決。改良発明。(自分の技術による解決。) 全体の32%。

第2レベル:既存システムに機能を追加した改良。(自社の技術による解決。) 全体の45%。

第3レベル:既存システムの抜本的な改善。(同一業界の技術による解決。)全体の18%。

第4レベル:新しい概念の創造。(異分野、他業界の技術による解決。)全体の4%。

第5レベル:今までにないものの発明・発見。電話、ラジオ、レーザーなど。全体の0.3%。

第4、第5レベルがブレークスルーに該当する発明。 第5レベルはほとんど偶然と模倣(この表現で言わんとするところは類推的思考と思われる)による。」

 

さて、等価変換理論は市川先生が結果的にはここで言う第4、第5レベルの発明を分析して、思考過程を明らかにしたものです。従って目指すものも当然、第4、第5レベルのものですが、その時期に、そこと関連した部署にいるなど、タイミングが合わなければ、その力があってもブレークスルーの発明者にはなれません。一生に1,2度あれば上出来ではないでしょうか。その少ない可能性のために訓練するのか、となりますが、そのとおりと言う他ありません。しかしオリンピックで金メダルを目指して訓練している人は、地方大会では簡単に優勝できるでしょう。同様に日常的開発は楽にこなせるのではないでしょうか。

第1レベル、第2レベル合わせて77%です。これは多くの発明が専門技術・知識の駆使によっていることを表しています。フローチャートではもっぱらデジタルルートを使って処理しておられることになります。皆さん方の発明の多くも同様だと思います。

もともとアナログルートを使っていないわけですからAοを探すのが難しいのは当然です。チャートに慣れる練習と割り切って、アナログルートで考えたらどうなるだろう、という立場で考えてください。

等価変換理論の長短も以上から分かります。ブレークスルー的開発を目指した発想法ですが、常に、何処にでもチャンスがあるとは限らないことです。また専門情報の駆使による開発にはチャートにデジタルルートと位置づけているだけで、特に発言していません。

チャートを使わなくても開発できる時はあえて使う必要はないのです。