Ⅰ等価変換理論全般

1-1.

Q:現役のET会員は何名ですか。
A:市川先生が現役のころ、同志社大学の教え子と大阪科学技術センターの企業人の受講生は何100人の単位でした。その内熱心な教え子はET会員となりましたが現役を退職され会員も減りました。2000年に市川先生が亡くなられ、今は40数名で、毎月大阪・東京で定例会を開催中です。(大阪・堂島 中央電気倶楽部会議室、東京・新宿 ランドマーク新宿ビル会議室)毎月の定例会参加者は10数名です。このままでは会員もET理論も消えるのではないかという危機感から、平成17年より普及活動を開始しました。日刊工業新聞社から「図解でわかる等価変理論」の発刊や通信教育講座開設、各種のセミナーもその一貫です。
  
1-2.

Q:各種発想法を実務に適用するにはどのようにすればよいのですか。
A:実務が何かによります。画期的な技術開発を目指しているのであれば、しばらく等価変換理論に賭けてみてください。他の実務であれば、「創造力事典」の第Ⅴ部の88技法に目を通して、使えそうなものがないか見当をつければよいと思います。
 
1-3.

Q:「具体的に業務に活用できるかどうかわからない」という人がかなりいて、「知識として知っている」だけでは意味がないと心配する人がいます。

A:演習例からも分かるように、問題が生じたときその原因を徹底的に調べます。その結果、因果関係がはっきりすれば対策はおのずから決まるというのが専門情報による解決であり、いわゆるデジタルルートによる解決です。等価変換論を使うまでもありません。  
 
しかし原因が分かっても対策が分からない場合も当然あり、ここで試行錯誤が起こります。このときに等価変換論の出る余地があります。合理的な思考の手順だから当然です。特に異分野からの発想のヒントが役立そうな場合は最も得意とするところです。 
 
 みなさんも全ての開発が専門情報の駆使だけでいけるとは考えておられないでしょう。困難に直面したとき活用しようと考えていて下さい。知識として知っておれば、使わずにはおれないはずです。柔道・空手を習っていて暴漢に襲われたときその技を使わない人はいないでしょう。ただ、何度も言うようにいざというとき使えるには日頃の訓練が大切です。訓練には時間が必要です。かつて市川先生が大阪科学技術センターでやっておられたセミナーは、毎週1日、7ヶ月のコースで、約30回でした。
 
1-4.

Q:似た現象を参考にすることは等価変換理論を知らなくてもおこなうことが多いと思いますが、この理論を知っていることで具体的にどのようなケースだと特に有効なのか。 
  A:偶然ではなく積極的に「似た現象を探そうという意識」を持つことが最も大きいと思います。なにが役に立つかは分かりませんから自分の専門外のことに広く網を張っておく。一般的には生物の知識が役に立ちそうです。         

1-5.

Q:第1理論と第2理論とはどのように違うのですか。
A:第1理論は、形とか機能性とかの大まかな観点から、AとBの2つの間に等価なものを探すことです。等価変換理論の基本であり、本質を抽象化する練習です。同時に、等価性に気が付くための訓練です。図解本の32項から41項まで10事例、「創造性の科学」のパネル1から4までの多くの事例を見直してください。
 
等価性を使った応用が等価変換であり、第2理論ということになります。等価性に気が付いた後、それを利用して創造しようというものです。事例で言えば、ガラスを折るのと板チョコを折るのが等価だと気が付くことからカッターナイフを開発し、ズボンに付いたガムを他のガムを押し付けて取るのと、米に付いた「米ぬか」に「ぬか」を押し付けて取るのが等価だと気が付くことによって無洗米が開発されました。
 
他の分野でも同様です。戦前の日本と古代地中海の都市国家カルタゴが似ている(等価だ)と思えば「カルタゴから学ぶ日本の針路」といった文章が書けます。
 
まず等価性に気が付く。そこでcε(シー イプシロン)を分析することによって等価変換することになります。等価性に気が付くのは、普通は偶然の出会いですから、これを目的意識的に探そうというのが等価変換フローチャートとなるわけです。そのためには明確に「問題の設定」がなされている必要があります。
 
1-6.

Q: 発明なら第2理論を利用すれば良いと思いますが、第1理論は何に利用するのですか。vi等を見つける力をつける練習というような位置づけで理解しておけばよいのでしょうか。
A:その考えでいいです。ただしET理論になれてきますとチャートを①´から順番にたどるのではなく、チャートは前提に置きながら、ε や Aοから始めることも多くなります。Aοから発想が始まれば第1理論の要素は大きくなりますね